スローフード物語 vol.9

「本漬糠にしん」

本漬糠にしんイメージ

北前船が運んだ郷土の味。北前とは日本海のこと。
北前船は、北へ南へさまざまなものを運びました。

本漬糠にしん 食文化を豊かにした北前船

「海の総合商社」というべき北前船。大阪を出航した北前船は、瀬戸内海を通り、日本海の港から、下り荷とよばれた物資はおもに塩、砂糖、米、反物などを積み込み、反対に蝦夷地からの上り荷は、鮭や昆布、身欠にしんや綿花栽培の肥料として大量のにしんの締め粕などが積まれました。

イメージ西廻り航路の中継点である富山県や石川県では、塩、米のほかに蝦夷地では作られない海産物を運搬には欠かせない大量の筵(むしろ)も積み込まれ、鮭や昆布、身欠きにしんが筵に包まれ、再び上り荷によって、運ばれました。
蝦夷地からもたらされた昆布や身欠きにしんなどの海産物は、今でもこの地方の郷土料理として今日に伝えられています。
昆布が採れない富山県の一人当りの消費量が日本一であるように、ヒラメやタイなどの白身の昆布締めは、昆布の旨味をしっとりと包み凝縮された郷土料理の筆頭です。冷蔵庫が登場するまで北陸地方では保存食として食べられていました。
身欠きにしんの昆布巻は、今でも北陸地方のハレの日の献立として作られ、富山県のおにぎりも海苔ではなく、おぼろ昆布が当り前に使われているほどです。

発酵・熟成が育んだ本漬糠にしん

秋田の「しょっつる」、土佐の「いかなごしょうゆ」と並び能登には「いしる」(いしりともいう)という魚醤があります。
スルメイカの内臓に大量の塩を加え、1年以上発酵・熟成させてつくる「いしる」は、刺身や昆布巻、各種料理の隠し味として、季節の食材を美味しくする万能の調味液です。
この発酵・熟成の製法に培われた北陸や山陰地方には、「いしる」同様に、食べ方のバリエーションが豊富な保存食として、加賀には「こんかいわし」、若狭には「さばへしこ」という漬け魚があります。

江戸時代中期、保存食としてつくられた

イメージ「こんかいわし」は、内臓を取り除いたいわしを塩と糠に一年以上漬け込むもので、「へしこ」も、鯖を同様の製法で漬け込むものですが、もともとはどちらも北前船で運ばれた蝦夷地の身欠きにしんが使われていたものです。
米の産地として塩も作られていた北陸や山陰地方では、米糠と塩で漬け込む保存食がさかんに作られ「にしんへしこ」は、長い航海の船頭たちの食料として北前船に積み込まれました。
やがてその製法は、北前船で運ばれた米糠や塩とともに、北海道の道南地方に伝わり、貴重な冬場のタンパク源として、また夏場の塩分補給や食欲増進などスタミナ源として「糠にしん」が作られるようになりました。

じっくり熟成された。本物は決してすたれない

イメージ北海道の郷土料理「三平汁」は、1700年代後半につくられたものです。
幕末、蝦夷地をくまなく探検した松浦武四郎の「西蝦夷日誌」(1803年)にも「糠と塩で漬けた魚と野菜で煮た汁を三平汁という」と記しています。
焼くと香ばしい風味の「本漬糠漬」は、ただ糠をまぶしただけの即席な製法では決して味わうことのできない本物です。同じ製法で熟成した本漬糠ほっけもございます。

※塩分が気になる方は、一尾を3~4切にカットし、4~5時間冷水に浸し塩抜きしてください。もっと塩抜きしたい場合は、一晩冷水に浸してから焼いてお召し上がりください。

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