スローフード物語 vol.8

「数の子 群来の海」

数の子 群来の海イメージ

少々くすんで見えるかも知れませんが、それが本物の数の子の証し。
独特の弾力と、ぱりぱり耳に快い音は、「耳で食べる」を実感できます。

魯山人も耳で楽しんだ道産数の子

数ある北の魚の中で、鰊ほど北海道に富をもたらした魚はないでしょう。毎年春になると、北海道の日本海側の住民たちは、息をひそめて「それ」を待ったといいます。子供たちはいつものように大きな声を出して遊ぶのを禁じられ、焚き火や、寺の鐘を突くことさえも控えたといい伝えられています。そうまでして、浜の人々が一日千秋の思いで待ちわびたものは「鰊群来=にしんくき」。群来というのは、浅瀬の海藻に卵を産みつけるため大挙して押し寄せる鰊の群のことです。

昼月の海鴎(ごめ)より白し鰊群来 樺雪

樺雪の句にもあるように、鰊のオスの放出する精子で海は乳白色に染まり、浜は歓声と怒号が行き交い、戦場さながらの活気を呈しました。

千石場所は夢のあと

イメージ千石場所といわれ、北海道の浜に空前絶後の富をもたらした鰊漁も、安永・天明(1772~1788)頃から松前地方の漁の不振とともに漁場が北上、明治30年に記録した史上最高の漁獲をピークに衰退の一途をたどり、昭和30年代の初めから群来がほとんど見られなくなりました。
こうして「江戸にもない」と謳われた鰊の浜は「強者どもの夢のあと」となってしまったのです。
しかし、鰊が獲れなくなっても、数の子を食べる習慣がなくなったわけではありません。特にお正月から数の子ははずせません。そこで、北海道の産地では北米太平洋産や北欧産などの鰊を輸入して数の子を加工し、昔ながらの日本の食習慣に対応しています。

音でわかる数の子産地

イメージこの海外からの輸入数の子で、かつて北海道近海で獲れていた数の子にもっとも近い、パリパリした食感のあるのが、プロが「本ちゃん」と呼ぶ北米太平洋産の数の子。北米太平洋産の鰊は卵を海藻に産み付けるため粘りの素になる蛋白質が多く、これが独特のパリパリをつくるのです。
一方、北欧産の鰊は砂地に産卵するのであまり卵に粘度を必要としません。このためやわらかで食感はシャリシャリ。つまり数の子は音で産地の見当がつくのです。

食通・魯山人のこだわりは

篆刻(てんこく)、陶芸、書画、古美術の鑑定など、多芸多才にして比類なき美食家の北大路魯山人は著書「魯山人味道=ろさんじんみどう」の巻頭で「数の子は耳で食うものである」と述べています。魯山人が活躍した時代にはまだ北海道で鰊が獲れ、パリパリと耳に心地よい音のする数の子が正月の祝膳に供されていました。ちなみに魯山人好みの数の子の食べ方は、「水で戻し、適当な大きさに指先でほぐし、花がつおか粉がつおのよいものを少し余計目にかけて、その上に醤油をかけ、醤油があまり卵の中に浸み込まないうちに食うのが、数の子を美味しく食う一番の方法である。これは世間で普通に行われている方法である。これ以外、変わった料理をしても、ただ、目先が変わっているというだけで、これが美味いというようなものに出くわさない」と記述しています。「指でほぐし、醤油が卵の中に浸み込まないうちに」というのが魯山人先生のこだわりのようです。

稀少な北海道産数の子

イメージさて、今となっては幻となった鰊群来ですが、だからといって北海道で鰊がまったく獲れなくなったわけではありません。弊社サーモンファクトリーから近い「厚田漁港」では少量ながら毎年安定して水揚げがあり、近年は小規模ながら日本海北部で群来らしきものも見られました。
弊社こだわりの本物商品「群来の海」は、稀少な北海道産鰊の原卵を用いた数の子です。やや小ぶりですが、数の子本来の色で、昔ながらの製法で仕上げました。独特の弾力ある歯ごたえとパリ!パリ!と耳に快く響く音は「耳で食べる」とおっしゃった魯山人先生にも、きっとご満足いただけるものと自負しております。

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