スローフード物語 vol.7

「伝説の魚 ししゃも」

伝説の魚 ししゃもイメージ

晩秋、産卵のため川を遡る直前が、最も美味しくなる「伝説の魚」。

柳葉魚は北海道の太平洋岸の8つの河川にしか遡上しない稀少資源の魚。

アイヌの人たちにとって、鮭やししゃも、ニシンは冬を越すための貴重な食料でした。ししゃもが獲れる太平洋岸のアイヌの人たちにとって、ししゃもこそがカムイ・チェプ(神の魚)でした。
アイヌの人たちは『川は、山から海へ向かうものではなく、海から山へと向かって上る生き物』と考えていました。
現在の私たちの感覚からすると、ちょっと不思議に思えますね。しかし、彼らにとって、川は山へ狩りに行くときの道しるべであり、なによりカムイ・チェプであるししゃもが、海から遡って来る大切な道でした。このため、このほうが生活に根ざした自然な感覚だったのかも知れません。
またアイヌの人たちは、カムイは神の国では人間と同じ姿をしているが、人間の世界に遊びにくるときには変装してくると考えていました。熊のカムイなら熊のような変装を、といった具合です。

イメージシペ(本当の食べ物)、カムイ・チェプ(神の魚)とよばれ大切にされていたししゃもですが、これらの魚は神の国でも魚の姿のままで、カムイではないと考えられていました。そのかわりに、魚を支配する神様(チェプ・ランケ・カムイ=魚をおろす神)がいて、ししゃもは、この神様が持つ袋から人間の国へ贈られると考えていました。
昔、蝦夷地のししゃもは、とても豊かな資源量があったため、魚は一匹ずつがカムイなのではなく、水や空気のように、神様が用意してくれた当然の存在として考えられていたためだと思われます。この当時、ししゃもがどれほど川に溢れていたかは、ユカラ(神謡)の一節からも想像することができます。

 川の中では川水が
 盛り上がるほどの魚の群れ
 水面の魚をいうならば
 天火で背中が焦げるほど
 川底の魚をいうならば
 石で腹がすりむける…

これほど豊かなししゃもですが、ひとたび人間が無礼な行いをすると、神様は怒って袋の口を固くしばってしまい、たちまち人間の世界は飢餓におそわれた、というウェペケレ(昔話)が、各地方に残っています。どんなにたくさんあるものでも神様からの贈り物だから、感謝の意をもって大切に扱わないといけないよ、というアイヌの人たちの自然への畏敬のあらわれといえるでしょう。

チェプ・ランケ・カムイが袋の中の鮭の骨やヒレを海辺にばらまくと、それはみるみる鮭となり、はたまた、柳の葉を海辺にばらまけば、見る間にししゃもの姿となり、人々の住むコタン目指して、川を遡っていったと言います。
海面が、陽光にキラキラと輝く様は、私たちが見ても美しいものですが、アイヌの人たちにとっても、きっと神々しい光景に見えた事でしょう。
次のような歌が残されています。

 アポイ ソー カタ
 (海の面に)
 ホー ラム ラム
 (ほー 鱗が)
 ホー ランナ
 (ほー 降りるよ)

神様が袋から魚の骨や鱗をばらまいた光景を、私は見たよ、といううれしさが伝わってきますよね。

ししゃもは、アイヌ語の「スス・ハム=柳の葉」が訛ったもので「柳葉魚」という当て字も、このアイヌ語の意味に由来します。

胆振の鵡川に伝わる伝説

イメージある日、神様が天上からコタンを見下ろすと、どこのチセ(家)からも炊煙がのぼっていない。食べ物がなくて、コタンの人たちは苦しんでいたのだ。そこで神様が柳の葉を海辺にまくと、その葉は次々にししゃもへと姿を変え、コタンへ向けて泳ぎ出した。ししゃものおかげでコタンの人たちは、飢饉から救われた。

ししゃもは、鮭と同じく川で生まれ、海で育ち、やがて産卵のために、川を遡上します。鮭のように一万キロ以上の旅はしませんが、河口から数キロ沖を回遊しながら成長します。イメージかつては、道南の遊楽部(ゆうらっぷ)川などにも遡上していましたが、現在は、胆振の鵡川、日高の沙流川、十勝川、釧路など太平洋岸の8河川のみ。ししゃもに似た魚で樺太ししゃもがありますが、川には遡上しないカペリンという魚で、生態も、歯ざわり、風味も違う別の魚です。

ししゃものシーズンは、10月中旬から晩秋の11月中旬まで。弊社の柳葉魚は、11月上旬に、遡上する直前の程よく脂の抜けた、最高品質のものを扱っております。
一般には、はち切れるほど抱卵したメスが最高といわれていますが、地元の人は断然オスがおすすめとか。ぜひこの機会に食べ比べを。

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佐藤水産こだわりの「本ししゃも」です。メス、オス、詰合せからお選びいただけます。

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