スローフード物語 vol.2

「寒塩引」

寒塩引イメージ

石狩に伝わる幻の寒塩引。
愚直なまでに手間を惜しまず、半年かけてじっくり美味しくなるまで待ちました。

二百年前「冬囲い」から献上品のリストにも記されていた幻の「寒塩引」

世紀初頭の室町時代に全国の有名産物を紹介し、江戸時代まで使われていた「庭訓往来(ていきんおうらい)」という教科書に、蝦夷地の産物として宇賀(現在の函館)の「干鮭(からざけ)」と「昆布」が紹介されております。1643年(正保3年)に松前藩が編纂した「新羅之記(しんらのきろく)」によれば、永世年間(1504~1520年)に、宇賀の海岸に問屋が並び毎年3回若狭より商船が来ていたことが記されています。

鮭が蝦夷地から本州方面に本格的に運ばれるようになったのは、江戸中期。日本海沿岸の寄港地を経由して、大阪を往来した北前船の時代からです。
この時代、塩はたいへん高価で、貴重品だったため、江戸時代中期までは、干鮭・乾鮭とよばれる内臓を取って干しただけのものでした。

春一番に運ばれた「冬囲い」が「寒塩引」へ

イメージ塩蔵した鮭が北前船に積み込まれるようになったのは、江戸時代後期1800年代になってからの事で、船倉に積めるだけの塩を積み、蝦夷地で内臓を取り除いた鮭を塩漬にし、ふたたび船倉に積み込み、本州方面に運ばれるようになりました。また、秋を過ぎると日本海は荒れるので、10月以降に獲れた鮭は、現地で塩漬にしてそのまま筵(むしろ)で囲い、一冬を越した鮭は、春になると本州へと運ばれました。
春一番に運ばれる塩鮭を『冬囲い』と呼んでいましたが、1825年(文政8年)に書かれた蝦夷地からの献上品リストの中に「寒塩引」の文字が記されています。
寒塩引は、塩を施して一冬越した「冬囲い」が元になったと思われますが、当初は塩引鮭より安く取り引きされたようですが、この味が評価され献上品として送られるようになりました。塩を使って山のように積み上げる山漬がつくられるようになったのもこの頃からです。

江戸時代の文化年間(1804~1818年)に、蝦夷地の海産物の製法や相場を書いた書物「松前産物大概鑑(まつまえたいがいかがみ)」には、

『塩引鮭…是は場所表にて綱引き次第、筋子を取りすぐに船入塩漬に仕り候、又は蔵入塩切に仕り候。囲に相成り、翌年取り候へば、値段三割方下直に相成り候由』
『荒巻鮭…是は塩引同様の製法に御座候へ共甘塩に仕り、長持難相成候。是を「アラ巻」と唱ひ申し候』
『干鮭…是は秋味収納川上へ上り候鮭を取り上げ、腹を取り、一本まま木の枝へ掛け、或いは棹に掛け干上げ、程良き頃運上屋夷人小屋に取込、火の上へ釣干し上げ申し候』と書かれています。

イメージこの頃、塩引鮭より甘塩の荒巻鮭が作られるようになりましたが、冷蔵庫の無い時代でしたので、日持ちがしなかったようです。ちなみに、新巻鮭の(荒→新)に変わったのは、大正時代に石狩の漁師たちが、甘塩で仕上げた鮭のネーミングを変えたのが始まりと言われています。

冬囲い同様に注目するのは干鮭です。塩が蝦夷地に運ばれるまでの製法は、干しただけの鮭でしたが、この江戸時代後期には干した後、早く乾燥させるためさらに火の上へ釣るしたとありますが、おそらく燻らせた風味の燻製の香りがしたのではないかと想像します。
この書物には、筋子の製法の他に、イクラをゾロリ子と言い、筋子をひと粒にほぐして塩漬にしたものと紹介しております。他に鮭の背ワタ(メフン)の塩辛も記されております。

半年かけて天然鮭の旨味を凝縮

イメージ当社の寒塩引は、200年ほど前から石狩に伝承されている製法を復元したものです。しっかり塩を施した鮭を定温で寝かせ、独特の香りが出るまで熟成。これを水に晒してほどよく塩抜きし、自然の寒風に当てて、凍ったり溶けたりをくり返しながら、数ヶ月から半年ほどじっくり干して旨味を引き出します。これにより、もともと4Kg以上もある大きな鮭から50%以上もの水分が抜けてしまうことからも、いかに寒塩引づくりが手間ひまのかかる非効率的な製法かが、おわかりいただけるでしょう。しかし、その非効率さゆえに旨味が凝縮された、昔ながらの味が食通といわれる方や、味に一家言もつ人々から絶賛されているのです。
寒さがもっとも厳しくなる12月下旬から寒塩引をつくり始め、来年5月下旬までに200本ほどつくる予定でございます。このうち100本は、毎年、寒塩引を心待ちにしていただいているお得意様の為に、残りの100本は一般のお客様のご注文を承り、お届けさせて頂きます。

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